ベッドの高さで何が変わる?生活の変化7つ&分類4つ

ベッドの「高さ」について、じっくりと検討されたことはありますか?

シングルやダブルなどの「サイズ(幅)」については、慎重に考える人が多いと思いますが、意外と「高さ」は見逃しがちです。

なんとなく「ローベッドはかっこいい」「収納ベッドは便利そう」といった漠然としたイメージで商品を探している場合、その「高さ(低さ)」によるメリット・デメリットもしっかりとご理解いただくことで、あなたのベッド選びの成功率は高まります。

例えば、

  • 立ち座りしやすい高さ
  • ホコリを感じにくい高さ
  • 高さときしみにくさの関係

こういったベッドの高さに関係することは、日頃の使用感に大きな影響を与えます。

この記事ではベッドの高さの選び方、および知っておいた方が良いベッド選びのポイントについてご紹介します。

■著者紹介

ベット高さ_著者紹介

椚 大輔(ベッド・マットレス専門家)

株式会社悠デザイン 代表取締役。家具メーカーに約7年間勤務後、2016年にベッド専門情報メディア「ベッドおすすめランキング( https://bed205.com/ )」を開設。国内・海外メーカーへの取材を重ね、レビューした商品は100を超える。ベッド・マットレスの専門家としてテレビや雑誌、新聞などへの出演・取材協力も行う。 

1. ベッドのサイズについての基礎知識

ベッドにはいろいろな大きさがあります。

ここでは、ベッドのサイズ(幅・長さ・高さ)の特長とそれぞれの選ぶポイントをご紹介します。

ベッド高さ_ベッドサイズ紹介

1-1.ベッドの「サイズ」とは?

「ベッドのサイズ」とは一般的に「幅」を指します。

そして、ベッドフレームのサイズとは「マットレスが置けるサイズのこと」です。

一般的なマットレスのサイズは以下の通りです。

サイズ 用途

セミシングル

80cm前後

小柄な人

シングル

97cm

1人

セミダブル

120cm

ゆったりの1人

ダブル

140cm

2人

クイーン

160cm

ゆったりの2人

キング

180cm

さらにゆったりの2人or3人

なお、セミシングル×2台でちょうどクイーンサイズとなる商品も多く、硬さ違いのマットレスが良いカップルなどにもおすすめです。

1-2.ベッドの「長さ」の種類

マットレスの長さは195cmが一般的です。

それに応じて、ベッドフレームの長さも195cmのマットレスが乗せられる床面にヘッドボード&フットボードの長さが加わります。要するに「ベッドフレームの長さ=ヘッドボードの厚さ+床面の長さ+フットボードの厚さ」ということです。

なお、数は少ないですが通常の長さ(丈)よりも短い「ショート丈」や「ロング丈」といった長さのマットレスもあります。

よって、ショート丈やロング丈のマットレスを選ぶ場合は、ベッドフレームの長さ(丈)もしっかりと確認しましょう。

ショート丈 通常 ロング丈

長さ(床面)

約180cm

195cm

205~215cm

推奨身長

160cm未満

~180cm

180cm以上

1-3.ベッドの「高さ」の種類

 ベッドの高さは主にベッドフレームによって決まります。

そして、ベッドフレームの高さは「脚の長さ」や「収納の有無」によって変わります。

大きく分けると以下の通りです。

高さ分類 高さの目安 代表的なベッドの種類

低め

30cm未満

ローベッド、すのこマット

一般的

35~45cm

脚付きベッド(すのこベッド、パイプベッド)、収納付きベッド、デイベッド

高め

50~60cm

大型収納ベッド(チェストベッド、跳ね上げ式ベッド)

かなり高め

90cm以上

ロフトベッド、二段ベッド

 それぞれの特徴(メリット・デメリット)は後ほど詳しくご紹介します。

2. ベッドの高さで生活が変わるポイント7つ

2-1.部屋の開放感

ベッド高さ_生活の変化_部屋の開放感

ベッドは低い方が天井までの距離が大きく開くため、部屋に開放感が生まれます。

また、重心が低い方がスマートな印象になるので、『かっこいい部屋にしたい』『生活感がない部屋にしたい』といった人は低めのベッドフレームがおすすめです。

2-2.立ち座りのしやすさ

ベッド高さ_生活の変化_立ち座り安い

一般的な の高さが40~45cmほどなので、立ち座りのしやすさを重視する人は、ベッドフレームにマットレスを乗せた時の高さが同じくらい(40~45cm)になる組み合わせがおすすめです。

また、マットレスの沈み込みやすさによって立ち座りに影響がでるので、外周を強化したような「端が沈み込みづらいマットレス」(エッジサポート)を選ぶのもおすすめです。

2-3.ホコリっぽさ

ベッド高さ_生活の変化_ホコリっぽさ

床から30cm付近まではホコリの滞留ゾーンと言われています。ハウスダストのアレルギーがあるに低いベッドはあまりおすすめできません。

2-4.転落の可能性

ベッド高さ_生活の変化_転落の可能性

高さがあるベッドほど転落した時にケガをするリスクが高まります。寝相が悪いは、サイドガードなどを使うか、そもそも落ちても大ケガの心配が少ない低いベッドを選びましょう。

2-5.収納スペース

ベッド高さ_生活の変化_収納スペース

ベッドの床板下に引き出しなどがある「収納付きベッド」は、その収納スペースによって高さが変わります。床板下を有効活用できるので、荷物が多いは大容量タイプの収納付きベッド(チェストベッドや跳ね上げ式ベッド)がおすすめです。

2-6.使用可能なマットレスの制限

ベッド高さ_生活の変化_使用可能なマットレス制限

二段ベッドやロフトベッドなど高さがあるベッドフレームは、安全上の理由で厚いマットレスを使うことが基本的にNGなのでご注意ください。(おおむね厚さ10cm以下が推奨されています

また、ヘッドボード付きのベッドフレームの場合、前板の長さによっては、薄すぎるマットレスを置いてしまうと隙間が生じてしまうこともあるので、購入前にチェックしましょう。

2-7.ロボット掃除機の対応

ベッド高さ_生活の変化_ロボット掃除機

脚付きベッド(すのこベッド)は、脚の長さによってはロボット掃除機が入る場合もあります。使いたいロボット掃除機の厚さによってご検討ください。

3. 高さ別ベッドの分類4つ&それぞれの特徴

3-1.低いベッド(目安:30cm未満)

ローベッド、すのこマットなどがこの高さにあたります。

ベッド高さ_高さ別特徴_低いベッド

3-1-1.メリット

  • 部屋が広く見え、開放感がある
  • 圧迫感が少なく、狭い部屋にも置きやすい
  • 低価格な商品が多く、組み立てが簡単な商品が多い

3-1-2.デメリット

床に近いため、ホコリを感じやすい(ハウスダストのアレルギーがあるに不向き)

立ち座りしにくい(足腰が悪いには不向き)

3-2.一般的な高さ(目安:35~45cm)

脚付きベッド(すのこベッドやパイプベッド)、収納付きベッド、デイベッドなどがこの高さにあたります。

ベッド高さ_高さ別特徴_一般ベッド

3-2-1.メリット

  • 立ち座りしやすい(足腰に不安がある方にもおすすめ)
  • 床板下が収納スペースとして使える商品が多い(寝室にクローゼットなどの収納が少ない方にもおすすめ)

3-2-2.デメリット

  • ホコリが入りやすい(特に脚付きベッド)

3-3.高めのベッド(目安:50~60cm)

ベッド高さ_高さ別特徴_高めのベッド

チェストベッド、跳ね上げ式ベッドなどの「大容量収納ベッド」がこの高さにあたります。

3-3-1.メリット

  • 大量の荷物を収納できる
  • 作りがしっかりしている傾向があり、きしみにくい

3-3-2.デメリット

  • 立ち座りしづらい(つま先立ちになる高さ)
  • 圧迫感がある
  • 価格が高め

3-4.かなり高いベッド(目安:90cm以上)

はしごや階段を使わないと床に降りられない高さです。ロフトベッドや二段ベッド(の上段)が、この高さにあたります。

3-4-1.メリット

  • ベッド下の空間が活用できる
  • 狭い部屋でもたくさんの家具を置ける

3-4-2.デメリット

  • 上り下りが面倒(足腰が悪い方には不向き)
  • 揺れやすい
  • 天井の近くは暑くなりやすい
  • 厚いマットレスが使えない

■ おすすめのベッドの高さは?

以上の通り、ベッドフレームにはさまざまな種類があるので、高さ選びに正解はありません。

ご自身の利用シーンや叶えたいことによってご検討ください。

参考までに、代表的な利用シーンごとにおすすめの高さをご紹介します。

▼立ち座りしやすさ重視のベッド

  • 脚付きベッド(すのこベッド、パイプベッド)
  • 収納付ベッド(引き出しタイプor浅型の跳ね上げ式タイプ)
  • デイベッド

▼部屋を広く見せられるベッド

  • ローベッド
  • すのこマット

▼収納力重視のベッド

  • チェストベッド
  • 跳ね上げ式ベッド

▼スペースを有効活用できるベッド

  • ロフトベッド
  • 二段ベッド
■高さ調節タイプもおすすめ

主に脚付きベッド(すのこベッドやパイプベッド)において、継脚(つぎあし)などの仕様によって、ベッドフレームの高さを調節できる商品もあります。

高さ調節可能なベッドなら、自分のライフスタイルにぴったり合った高さを調節できるので便利です。

4. ベッドを選ぶ際の注意点

ベッド高さ_選び方注意点

基本的にベッド(ベッドフレーム)は、店舗であっても通販であっても、購入後に配送を伴うことがほとんどですが、その際に注意したいのが「組み立ての難易度」です。

特に格安商品で、引き出しやヘッドボード(宮)などがあるベッドは組み立ての難易度が高めです。

たとえば、2~3万円くらいで買えるような収納付きベッドでは、引き出しの一つひとつまでバラバラになっている場合があり、組み立てに半日~1日くらいかかることもあります。

さらに、組み立ての完成度が不十分(ネジがしっかりしまっていないパーツの組み合わせがうまくいっていないなど)の場合、耐久性にも支障をきたします。

よって、組み立て難易度が高い、もしくは、組み立てが苦手なは、「組み立て設置サービス」を積極的に利用しましょう。 

組み立て設置サービスとは、ベッドの組み立て・配置・梱包材の引き取りまでを業者さんが行ってくれるサービスです。

組み立て設置サービスはショップによって対応・非対応があったり、内容や価格も異なりますが、一度チェックしてみることをおすすめします。

特に組み立てが難しい引き出し収納ベッド、チェストベッド(大型収納)、跳ね上げ式ベッド、ロフトベッド、二段ベッドなどをご購入の際は、積極的にご検討ください。

また組み立てが簡単な商品でも、ベッドを寝室に配置するのは苦労することもあり、特に力の弱いにもおすすめです。 

4-1.ベッドの耐荷重、選ぶ目安は?

ベッド高さ_選び方注意点_耐重量

『頑丈なベッドが良い』『体重が重いから心配』とお悩みの方はベッドフレームの「耐荷重」をチェックすることがおすすめです。

耐荷重とは「何kgの荷重まで耐えられるか」の数値です。

なお、一般的な使用環境におけるベッドフレームにかかる荷重とは「自分の体重+マットレス+軽寝具(掛布団・まくらなど)」の合算値です。

要するに荷重とはベッドフレームの上にあるすべての物の重量とお考えください。

  • 耐荷重は「メーカーが保証できる重さ」

耐荷重はメーカーが品質保証できる重さです。

よって、基本的に余裕を持った数値を表示していることがほとんどです。

つまり、耐荷重内での使用であれば、まず壊れる心配はほとんどないとお考えいただいても差し支えないので、特に体重が重い方や、2人で一つのベッドを使いたい方、重いマットレス(高級モデルに多い)を使いたい方などは購入前にチェックしてみてくださいね。

参考)https://bed205.com/bedtype/load-capacity

4-2.サイズ選びのコツ

ベッドはサイズ選びが大切です。基本的に広ければ広いほど快適度は高まるため、1人で使う場合でもセミダブルサイズ(幅120cm)以上がおすすめです。

その理由は「寝返りの幅」です。

寝返りには血液を滞留させて血行が悪くなることを防いだり、体温を調節する役割があり、快適な睡眠には適度かつスムーズな寝返りが必要です。

人は肩幅(平均的な肩幅は40~45cmほど)の2.5~3倍ほど寝返りを打つので、1人あたりセミダブル(横幅120cm)以上のサイズを選ぶのがおすすめです。

4-3.きしみと原因

ベッド高さ_選び方注意点_きしみ

ベッドフレームには様々な高さの商品がありますが、低ければ低いほうがきしみにくいです。

当然の理由ですが、高さがある方が揺れを大きく感じやすいためです。

つまり、二段ベッド(の上段)やロフトベッドなどは特にきしみや揺れを感じやすいということです。

また、組み立ての簡単さ(パーツの少なさ)や、素材(木製orスチール製)などでもきしみやすさは変わってきます。

基本的にパーツが少ないということは接合部分が少ないため、きしみにくいですし、スチール(金属)製は振動が伝わりやすいので揺れやすく、さらに金属同士のすれる音が目立ちやすいです。

よって、特に体重が重く、ベッドのきしみに不安があるは、「高さが低い」「組み立てが簡単(パーツが少ない)」「木製」という条件で選ぶことがおすすめです。

4-4.マットレスとの相性は?

マットレスは睡眠中にかく汗(湿気)などが内部にたまるため、できるだけ放湿・吸湿性が高いベッドフレームがおすすめです。

よって、一番無難なのは、天然木(特に桐やヒノキ、杉など)を使ったすのこ床板仕様のベッド(いわゆる「すのこベッド」)です。

特に桐やひのきなどの天然木は自然の調湿性能を持っていますし、空洞が多いすのこ床板ならベッドの下方向への通気性が優れているためです。

一方、パネルタイプの床板のベッドフレームの場合は、除湿シートなどを上手に活用することをおすすめします。

4-5.布団が使えるベッドフレーム

ベッド高さ_選び方注意点_布団が使える

敷き布団はマットレスに比べると高さが低いので、『なるべく高さを抑えたい』とお考えの方は敷き布団を使用するのも選択肢のひとつです。

基本的にベッドフレームはマットレスを使うことを想定して作られていることが多いですが、中には敷き布団(和布団)でも使えるベッドフレームもあります。

  • 通気性を補う「すのこベッド」

敷き布団はマットレスに比べて通気性が悪いため、ベッドフレームを使いたい場合は、通気性が高いすのこベッドを選びましょう。

ただし、すのこの間隔が広すぎると、角当たり(寝ていてすのこの角の存在を感じること)を感じたり、そもそも耐久性として敷き布団が使用できない場合もあるのでご注意ください(マットレスよりも敷き布団の方が荷重分散性が低く、フレームへの負担が大きいためです)。

  • 相性が良いのは「畳ベッド」

敷き布団は畳との相性も良く、畳ベッド(床板が畳仕様のベッド)もおすすめです。

これは畳ならではのクッション性が、敷き布団の底付き感を軽減させてくれるためです。

また、畳ベッドは畳(い草)が持つ調湿性や保温性に加え、リラックスできる香りも魅力です。

なお、畳ベッドは湿気によってカビやすいというデメリットがあるため、マットレスを使う場合は(敷きっぱなしにすることが多いため)、あまりおすすめできません。

4-6.マットレスの高さ(厚さ)はどれがおすすめ?

ベッド高さ_選び方注意点_マットレス高さ

ベッドの最終的な高さはベッドフレームだけではなく、マットレスの厚さ(高さ)によって決まります。

マットレスの厚さも商品によってさまざまですが、大きくは厚さ10cm以下の「薄型タイプ」か、厚さ15cm前後以上の「レギュラータイプ」に分かれます。

それぞれの違いは以下の通りです。

4-6-1.薄型タイプ

メリット:軽量で取り扱いやすい

デメリット:レギュラータイプに比べて寝心地が劣る傾向がある・硬めの寝心地が中心

4-6-2.レギュラータイプ

メリット:寝心地が良質なものを選びやすい、仰向き・横向きでも寝やすい商品も多い

デメリット:重いので移動が大変(捨てるのも大変)

4-6-3.「薄型」と「レギュラー」どっちがおすすめ?

基本的に寝心地にこだわりたい方はレギュラータイプがおすすめです。

厚いことによるクッション性の高さやリッチな寝心地を楽しめる商品も多いです。目安としては単品価格で3万円以上(シングルサイズ)を選ぶと失敗は少ないでしょう。

ただし、レギュラータイプが置けないベッドフレームもあります。

たとえば、ロフトベッドや二段ベッド(特に上段)は安全上・設計上の理由で、厚さ10cm以下のマットレスが推奨されている商品が多いです。

また、床板を持ち上げて使う「跳ね上げ式ベッド」は跳ね上げ機構(ガス圧ダンパー等)の制約で、重さや薄さが限定されていることもあり、基本的にセット購入(フレーム+マットレス)で買うことがおすすめです。

収納ベッドの中で最も高さがある「チェストベッド(大容量引き出し収納タイプ)」も、床面がかなり高いため、薄型マットレスを選んだ方が使いやすいと言えます。

また、床面がリクライニングする電動ベッドにおいては、セットで選択可能なマットレスを選ぶことが基本で、薄型タイプしか選べない商品も少なくありません。

まとめると以下のとおりです。

レギュラータイプがおすすめ

  • ローベッド
  • 脚付きベッド(すのこベッド、パイプベッド)
  • 引き出し収納ベッド

薄型タイプがおすすめ

  • ロフトベッド
  • 二段ベッド
  • チェストベッド
  • 跳ね上げ式ベッド(セット購入が基本)
  • 電動ベッド(セット購入が基本)

5. まとめ

ベッド高さ_まとめ

いかがでしたでしょうか。ベッドの高さの選び方をご紹介しました。

ベッドフレームはさまざまな種類があり、高さも商品によって異なりますが、大きく4つの高さに分けることができます。

立ち座りのしやすさや、揺れにくさ(きしみにくさ)、部屋の有効活用など、あなたが重要視するポイントをしっかりと考えたうえで、ぴったりな高さを選んでくださいね。

また、最終的な高さ(床面までの高さ)はマットレスに大きく影響されるので、マットレスを選ぶ際にも「高さ(厚さ)」に注目すると良いでしょう。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。