【素材別】マットレスの寿命は何年?交換サインと長持ちのコツも解説

「今、使用しているマットレスが購入時よりも寝心地が悪くなった。」と感じている方や、「次に買い替えるマットレスは耐久性に優れたものにしたい!」と考える方は多いのではないでしょうか。

それぞれのマットレスには寿命があり、長く使い過ぎると気付かぬうちに本来の機能性が失われてしまうので、徐々に体に悪影響が出てきます。そのため、経年劣化の場合はマットレスを買い替える必要があります。

ただし、耐久性の低いマットレスを購入してすぐに劣化してしまうと、まさに「安物買いの銭失い」となってしまいます。ある程度の耐久性を備えているマットレスを選ぶことでコスパよく使い続けることができます。

このページでは、一般的なマットレスの寿命や交換すべきサイン、長持ちさせる方法、耐久性の高いマットレスの選び方についてご紹介します。『現在使用しているマットレスが買い替え時なのか?』『どのようなマットレスが長持ちするのか?』と気になっている方はぜひ最後までご覧ください。

【著者紹介】

上級睡眠健康指導士(第733号)。「マットレス」と「睡眠」の専門家。1年で50個以上のマットレスを購入・体験している。睡眠の質やQOLの観点から多くの方の寝具・マットレス選びを手助けする。→快眠ハック

1. マットレスの寿命は?

マットレス寿命

マットレスの一般的な寿命は510年程度です。品質や使い方、メンテナンス方法によっても寿命が変わってきますが、中身の素材によっても目安の寿命は異なります。 

ここからは、マットレスの中身の素材別に寿命の目安を解説していきます。

(1) 素材別の寿命

素材 寿命(目安) 価格帯(目安)

ポケットコイル

7~10年

3万円~30万円

ボンネルコイル

5~8年

7千円~10万円

高反発ウレタン

5~8年

3万円~8万円

低反発ウレタン

3~5年

1万円~5万円

ファイバー

6~9年

3万円~10万円

ラテックス

6~9年

3万円〜10万円

ポケットコイルマットレスの寿命は7~10年と、他の素材と比べて長めになっています。ボンネルコイルも同じくコイルマットレスですが、5~8年とポケットコイルよりも寿命は短くなります。とはいえ、ウレタンマットレスに比べるとヘタりにくく、耐久性も高いのが特徴です。

高反発ウレタンマットレスの寿命は5~8年が目安ですが、質の悪いものだと3年程度で劣化してしまうリスクもあるため注意しましょう。高級マットレスにも使われている素材で、中には10万円を超える商品もあります。

同じウレタン素材のマットレスでも、低反発ウレタンの寿命は3~5年と耐久性が低いので注意が必要です。やわらかいのでマットレスに体重がかかって沈み込んでしまうため、ヘタりが早く起こりやすくなります。ただし、その分価格はリーズナブルなものが多く、予算が限られている方でも購入しやすいでしょう。

ファイバーマットレスやラテックスマットレスの場合は、寿命が6~9年程度です。ファイバーマットレスは丸洗いできるので、長く使っても衛生的に使用できるでしょう。

 

2. マットレスを交換すべき5つのサイン

マットレス寿命_交換タイミング

マットレスの交換目安としては、下記のサインをチェックしてみてください。

  1. マットレスがヘタっている
  2. マットレスの弾力(反発力)が感じられなくなった
  3. 生地のほつれや破れが出てきた
  4. コイルスプリングのきしみ音が鳴る
  5. 生地や中材にカビが生えてしまった

ここからは、上記のサインについて詳しく解説していきます。

(1) マットレスがヘタっている

長く使用していると、だんだんとマットレスがヘタってきます。代表的なヘタりは低反発ウレタンマットレスで、一部分がへこんで戻らないヘタり方が特徴です。とはいえ、低反発ウレタンだけでなく、どの素材でも寿命が近づくにつれヘタってくるので交換の目安にしましょう。

特に睡眠中に最も体重がかかる腰部分は、ヘタりやすい部分です。腰部分がヘタってくると体が沈み込んでしまいます。血流も悪くなり、肩こりや腰痛の原因になってしまうでしょう。睡眠の質も悪くなるので、マットレスの交換も検討してください。

(2) マットレスの弾力(反発力)が感じられなくなった

湿度が高い状態で長く使用すると、次第にマットレスの弾力がなくなっていきます。購入した時よりもやわらかくなり、反発力がないと感じた場合はマットレスの交換時期といえるでしょう。

マットレスの反発力がないと、寝返りが打ちづらくなります。スムーズに寝返りができないと、起きた時に腰や首、肩に違和感や痛みを感じることが増えてくるでしょう。そのまま使い続けると、姿勢がゆがんでしまう可能性もあるので早めに交換するようにしてください。

(3) 生地のほつれや破れが出てきた

マットレス本体ではなく、生地に劣化が生じることもあります。生地にほつれや破れが生じていると、マットレスの吸水性や放湿性などの機能も低下してしまいます。

破れた部分から汚れが侵入して、カビやダニも発生しやすくなるので注意が必要です。ベッドマットレスを使用する際には、ボックスシーツを用いることで生地のほつれや破れを防ぐことができます。

(4) コイルスプリングのきしみ音が鳴る

コイルマットレスの場合は、劣化によりスプリングのきしみ音が出てくることもあるでしょう。ギシギシとしたきしみ音は、サビやコイルスプリングの構造が劣化している証拠になることもあります。

マットレスの外側は問題なくても、内側の機能性が落ちている可能性があるため交換の目安にしましょう。ただし、ベッドフレームの不具合できしみ音がすることもあるので、音の原因は慎重にチェックするようにしてください。

また、コイルマットレスの場合はスプリングが背中に当たる感覚がでてくると、劣化のサインです。スプリングのかたさが体に伝わってしまうと、寝心地も悪くなるので早いうちに買い替えましょう。

(5) 生地や中材にカビが生えてしまった

日本は湿度が高いので、お手入れの状態によっては生地や中材にカビが生えてしまうことが多々あります。特にウレタン素材のマットレスは通気性が悪いので、定期的に陰干しをして湿気を逃がしてあげないとすぐにカビが発生してしまうので注意しましょう。

カビが発生したマットレスで寝ると、睡眠中にカビを吸い込んでしまいます。カビを吸い込むことで、アレルギーや喘息など体への悪影響を引き起こしかねません。さらに、ベッドフレームにもカビが移ってしまう可能性もあるので、早めに買い替えるようにしましょう。

 

3. マットレスを長持ちさせるには?

マットレス寿命_長持ちさせる方法

マットレスを長持ちさせるためのコツは以下の通りです。

  • マットレスを立てて通気させる
  • マットレスの向きをローテーションさせる
  • 除湿シートやベッドフレームで湿気対策を行う
  • シーツを使用し、こまめに洗濯する
  • 普段からマットレスの上に物を乗せない
  • マットレストッパーを使用する 

それぞれ詳しく説明します。マットレスの寿命を長くするために、ぜひ参考にしてください。

(1) マットレスを立てて通気させる

マットレス寿命_長持ちやり方_マットレスを立てて通気

人間は寝ている間にコップ一杯分の汗をかくといわれています。その汗がマットレスに染み込むので、マットレスには湿気が溜まっている状態です。

マットレスに湿気が溜まった状態が続くと、カビやダニの発生原因となります。また、ヘタりも早くなってしまうので、定期的に湿気を放出しなければなりません。 

頻度として週に1回程度、陰干しして通気させるようにしましょう。三つ折りマットレスであれば、自立させられるので陰干しもしやすくなります。

特に床に直置きしている場合、湿気が逃げていきません。そのため、通常のマットレスよりも高い頻度で通気させる必要があります。可能であれば毎日立てかけて通気させるのがおすすめです。

(2) マットレスの向きをローテーションさせる

毎日マットレスを使っていると、同じ部分に負荷がかかりやすくなります。特に腰部分の負荷は大きく、その部分だけヘタりやすくなるので注意しましょう。 

ヘタりを分散させ、劣化を遅らせるためにも「ローテーション」がおすすめです。ローテーションとはベッドの上下や裏表を変えながら、マットレスを使用することを指します。ローテーションさせることで、負荷がかかる部分を分散させることができるのです。

ただし、裏表や上下で構造が異なるマットレスの場合は、ローテーションができません。事前にローテーションができるマットレスかどうかを、チェックしてから購入するようにしましょう。

(3) 除湿シートやベッドフレームで湿気対策を行う

通常のマットレスには「ウレタンフォーム」が使われています。コイルマットレスだとしても詰め物にはウレタンが使用されていることがほとんどです。

この「ウレタンフォーム」は湿気に弱い素材です。湿度の高い状態が続くことで、ヘタりやすくなってしまいます。そのため、湿気対策として「除湿シート」を使用するのがおすすめです。

マットレスの下に敷くだけで、マットレスの湿気を吸収してくれるため楽に湿気対策を行うことができます。乾燥させれば再度使用できるので、コスパも良いアイテムです。

また、ベッドフレームには通気性の良いすのこタイプなどを使用するようにしましょう。床板に隙間があるので、通気性に優れているのが特徴です。ベッドマットレスの底面に溜まった湿気を溜め込まず、逃がしてくれる効果が期待できるでしょう。

(4) シーツを使用し、こまめに洗濯する

マットレス寿命_長持ちやり方_シーツ洗濯

マットレスにじかに寝ると、汚れや汗がマットレスに付くので劣化も早まります。カビも発生しやすくなるので、マットレスには必ずシーツを使用するようにしましょう。

シーツを敷くことで、汚れを防ぎ汗や湿気を吸収してくれます。敷いたシーツは週に1回程度、洗濯するようにしてください。目に見えた汚れがなくても、汗や皮脂が付着しています。その汚れをエサに、ダニが繁殖する可能性が高くなるため注意しましょう。

(5) 普段からマットレスの上に物を乗せない

マットレス寿命_長持ちやり方_物を置かない

マットレスを物置代わりにすると、ヘタりやすくなります。一人暮らしのワンルームなどでは、ベッドの上についつい物を置きがちです。また、ソファ代わりに座ってしまいたくなりますが、ヘタりの原因になるためできるだけ避けるようにしましょう。

さらに、小さい子どもがベッドの上で飛び跳ねるのも、やめさせた方が賢明です。ヘタりだけでなく、ベッドのスプリングがダメになってしまうリスクもあるためベッドの上は睡眠時以外では使用しないようにしましょう。

(6) マットレストッパーを使用する

マットレス寿命_長持ちやり方_トッパーを使用

マットレストッパーとは、マットレスの上に敷いて使用する寝具のことです。マットレスの寝心地改善やヘタり防止を目的に使われます。厚さ4~6㎝程度のものが一般的で、敷くだけでマットレスのヘタりを予防することができます。

マットレストッパー自体は使用するうちにヘタってきますが、マットレスよりも安価に買い替えられるのでコスト削減にもつながるでしょう。敷きパッドやベッドパッドでも多少は予防になります。

ただし、マットレスの寝心地は変わってしまうので、硬さや厚みなどに注意して選ぶようにしてください。

 

4. 耐久性の高いマットレスの選び方【素材別】

ここからは、ヘタりにくく耐久性の高いマットレスの選び方について、代表的な以下の6つの素材別に解説していきます。 

素材 選び方

ポケットコイル

・線材の品質
・詰め物の密度

ボンネルコイル

・線材の品質
・詰め物の密度

高反発ウレタン

・ウレタンの密度「D」

低反発ウレタン

・ウレタンの密度「D」(高反発に+10D)

ファイバー

・密度
・繊維の細さ

ラテックス

・天然ゴム含有率


 (1) ポケットコイル

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_ポケットコイル

ポケットコイルは、線材の品質と詰め物に使われるウレタンの密度で耐久性が変わります。線材は硬鋼線よりもピアノ線の方が、長く使うことができます。さらに、線材のマンガン含有量が多ければ多いほど、耐久性も高くなるでしょう。 

また、コイルマットレスはコイル層とクッション層に分かれており、クッション層の中身のことを「詰め物」と呼びます。詰め物にはウレタンが使われることが多いですが、この詰め物の層が薄過ぎると、耐久性が低くなるばかりでなく短期間でバネ感が出てしまうので注意が必要です。

(2) ボンネルコイル

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_ポンネルコイル

ボンネルコイルもポケットコイルと同じく、線材の品質と詰め物の密度で耐久性を見極めるようにしましょう。

ただし、ポケットコイルはコイルが一つずつ不織布に入っているのに対し、ボンネルコイルはコイルが剥きだしになっています。そのため、変形や劣化がポケットコイルよりも早い傾向です。

(3) 高反発ウレタン

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_高反発

高反発ウレタンの場合は、ウレタンの密度によって耐久性が変わってきます。 

ウレタンの密度は「D」で表記されますが、耐久性の高いマットレスを選ぶためには35D以上のものを選ぶようにしましょう。35Dあれば少なくても5年は使えるため、すぐにヘタってしまう可能性は低くなります。

目安として2030D13年、3035D35年、3540D57年、4050D810年が耐久年数の目安です。密度が高くなればなるほど、耐久性も高くなります。

(4) 低反発ウレタン

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_低反発

低反発ウレタンも、高反発ウレタン同様ウレタンの密度「Ⅾ」を参考にして選ぶようにしましょう。

ただし、低反発ウレタンの場合は復元力が高反発よりも低く、湿気がこもりやすいという特徴があります。やわらかく、ヘタりやすいので高反発ウレタンよりも高い密度が求められます。

目安としては高反発ウレタン+10Ⅾの密度が、耐久年数だと考えてください。そのため、5年以上使えるマットレスを選ぶためには、密度45Ⅾ以上のマットレスがおすすめです。

(5) ファイバー

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_ファイバー

ファイバー素材のマットレスは立体構造で密度が低いため、素材自体の耐久性があまり高くありません。

その中でも耐久性の高いマットレスを選ぶためには、たくさんの繊維が詰まっている密度の高いファイバーマットレスを選ぶようにしましょう。

ただし、密度が高くなればなるほど、マットレスはかたくなります。できるだけ繊維が細く、高密度なものを選ぶことで寝心地と耐久性のバランスを取ることができるでしょう。

(6) ラテックス

マットレス寿命_耐久性の高いマットレス_ラテックス

ラテックスは天然ゴムの樹液を原料とする素材です。天然ゴム80%以上のマットレスを「天然ラテックス」、それ未満の保有率のマットレスを「合成ラテックス」と呼びます。

天然ラテックスは抗菌・防カビ効果もあるため、天然ラテックスの割合が高ければ高いほど寿命も長くなります。天然ラテックスのマットレスであれば、10年程度は使用することができるでしょう。一方、合成ラテックスマットレスは2~3年でヘタりがみられるようになります。

詳しいマットレスの選び方については、下記の記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

【専門家監修】マットレスの選び方 こちら!

5. 長く使いたければ長期保証のマットレスがおすすめ

マットレス寿命_マットレス保証

マットレスの保証期間は、メーカーによってさまざまです。中には10年や30年といった長期保証が付いているメーカーもあります。

マットレスの保証期間は購入日からカウントされます。正しく使用している状態で、スプリングの故障や一定基準以上のヘタりがみられた場合に保証対象となることがほとんどです。長く使いたいのであれば、長期保証が付いているマットレスを選ぶようにしましょう。

(1) 品質保証の注意点

保証内容はメーカーによって異なりますが、下記のような場合は保証されないことがほとんどです。

  • 購入後に発生したマットレス生地の汚れや劣化
  • 不適切な使用によるマットレスの破損
  • 経年劣化
  • 購入後にマットレスに発生したカビ

また、領収書や保証書がないと、保証を受けられないことも少なくありません。いざとなった時に、品質保証が受けられないということのないように、事前に保証内容を細かく確認しておくことが大切です。

 

6. まとめ

マットレス寿命_まとめ

マットレスの寿命は、素材や日頃の使い方、メンテナンス方法によって大きく変わってきます。安くマットレスを購入したとしても、すぐにヘタってしまえばコスパが悪くなります。

予算や寝心地、耐久性を総合的にみて、マットレスを選ぶようにしましょう。寿命を迎えたマットレスを使用し続けると、体の不調の原因になります。質の良い睡眠のためにも、早めの交換をおすすめします。